本日、新海誠監督の最新作である「天気の子」が公開されました。
前作である「君の名は。」が空前のヒットとなったことからもその注目度は高く、元々のファンはもちろんのこと、今まで新海監督を知らなかったかたもこの夏に観に行く映画の候補に挙がっているのではないでしょうか。
もっとも、「君の名は。」は面白かったけど正直なところ今回はどうなんだろうと、評判を聞いてから決めようというかたも多いかもしれません。私も特別ファンでなければ暫く様子見したと思います。
そこで本記事では、公開初日に実際に観に行ってみてどうだったのか。「君の名は。」に続くヒットとなるほどに面白かったのかについて、これから観に行く人に配慮してネタバレをせずに書いていきます。
来場者特典について
通常、アニメ映画では来場者特典が付くことが多いですが、本作では特に配布されているものはありませんでした。
もっとも、映画館に設置されているスタンディにQRコードが掲載されており、そこからスペシャル壁紙をダウンロードできるようになっています。これが来場者特典といえなくもないですね。
ただし、まだ一部しか公開されておらずのちほど追加されるようなので、本特典を目当てに観に行くのであればもうしばらく待った方が良いでしょう。
出典:新海誠「天気の子」スペシャル壁紙画像(『天気の子』製作委員会、2019)
また、アニメイトに映画の半券を持って行き、「小説 天気の子」以外の新海誠関連書籍や新海誠監督関連のオーディオ・ビジュアル商品を1点購入すると「劇場ポスターイラストの【ポストカード(全1種)】」を貰うことができるので要チェックです。
出典:新海誠「天気の子」キービジュアル(『天気の子』製作委員会、2019)
客層について
前作では若年層(特にカップル)が多めではあったものの、老若男女幅広い世代が観に来ていたという印象があります。
他方、本作ではカップルはほとんどいませんでしたが、同じように年齢層はバラバラだったように思います。男女比もおそらく半々といったところでした。カップルがほとんどいなかったのも様子見しているからで、「デート向きの映画だ」と評判になれば徐々に増えていくのではないでしょうか。
もっとも、これは私が利用した映画館がたまたまそうだっただけで、普通に若年層がほとんどだったという映画館もあるかもしれません。あくまでも参考程度に止めていただければ幸いです。
映像について
新海監督の代名詞といえば「映像美」と答える人も多いのではないでしょうか。
「君の名は。」を始めとする過去作品を観てファンになった人の中には、この「映像美」を期待しているというかたもいるかもしれません。一つの芸術作品として美術品を見に行くような感覚があってもおかしくないほどに美しいですからね。
では「天気の子」はどうだったかというと、「君の名は。」でその映像美に魅了されたというかたの期待には十分応えてくれる仕上がりになっていた
と思います(キャラクターデザインも一緒なのでより違和感はないでしょう)。というか、個人的には前作を超える美しさだったという印象です。本当に綺麗でした。
新海監督の映像美は通常の風景はもちろんですが、特に雨のシーンでその真価を発揮する気がします。それは過去作である「言の葉の庭」でも感じたことでした。
本作では「天気の子」というタイトルの通り雨のシーンが多いため、新海監督の映像美を余すところなく体感できるはずです。それだけでも見る価値があると思いますね。
音楽について
これは完全な好みですが、私は前作の「君の名は。」のOPである「前前前世」だけが、どうしても本編と合っていないと感じていました。映画が始まってしばらくしていきなり「はい! オープニングですよ!」といった感じで差し込まれているため、違和感を覚えてしまったからです。
別に曲自体は嫌いじゃないですし(というか好きです)、本編で流れている他の曲や挿入歌に関しては全く不満はありません。ただ、OPだけがどうしてもダメでした。
他方、本作「天気の子」はそういうことは一切ありませんでした。
RADWIMPSさんの楽曲はどれも素晴らしく、また、本編にも違和感なく差し込まれていてとても良かったです。この点については前作を超えていたと思います。
声優(本田翼さん)の演技について
非オタクのかたはあまり気にならないのかもしれませんが、オタクの中には声優の演技、特に「俳優が声の演技をすること」を気にするかたもいます。
これは別に声優でなければならないというわけではなく、専門外である俳優を起用したせいで棒読みの演技をされてしまい、作品に没頭できない事態に陥ることを危惧しているからです。声優が演技をしていれば何の問題もなかったのにと思ってしまうほど演技が下手だったということが過去に結構ありましたからね。
本作ではメインキャラクターのほとんどが俳優で構成されており、キャストが発表された段階で心配の声がちらほらとあがっていました。その心配が的中したと言わんばかりに騒ぎになったのが、PVが公開されてからです。
特に、本田翼さんの演技については否定的な声も多く、まとめサイトでは監督までもが批判していたといったような記事も目にしたほどです。ただし、これについてはおそらく違うニュアンスで言ったことが曲解されただけだと思いますけどね。
では、実際に観てどうだったのか。正直なところをいえば手放しで素晴らしい演技だったと褒めるほどではないと思います。
しかし、だからといって酷かったかというとそういうわけでもなく、作品に没頭するのを邪魔するような演技でもありませんでした。思っていたより悪くなく、可もなく不可もなくといった感じですね。
印象としては、吉柳さん・平泉さん・倍賞さん > 主人公の2人 > 本田さん・小栗さんの順番で上手さが分けられるかなと。ただ、繰り返しますが下手だというかたは1人もいませんでした。
内容(ストーリー展開)について
前作である「君の名は。」は男女の入れ替わりというテーマとしてはそこまで目新しくない要素に、年月のずれという仕掛けをほどこしたことで視聴者を騙すという面白さがありました。
内容も起承転結がはっきりしていて、笑いあり涙ありと観ている人を飽きさせないストーリー展開だったように思います。特に入れ替わりのシーンでは会場が笑いに包まれていたと記憶しています。
他方、本作「天気の子」は視聴者を騙すような仕掛けという点においては、前作を超えられていないと思います。先の展開や結末が読めないという部分は変わりませんでしたが、「うわ! こりゃ一本取られた!!」というような衝撃は個人的にはあまりなかったです。
もっとも、ストーリー展開についていえば前作に勝るとも劣らない構成で、起承転結がはっきりしていたのはもちろんのこと、ドキドキしたりハラハラしたりと感情を何度も揺さぶられました。笑いのパートについては前作のほうが多かった気がしますが、泣けるシーンに関していえばこちらのほうが優っていたのではないでしょうか。会場でも鼻水をすする音が結構聞こえてきました。
ただし、「君の名は。」は最後まで比較的わかりやすいストーリーでしたが、「天気の子」は最後にかけて多少自分なりの解釈が必要になってくるかもしれません。一から十まで説明が必要というかただと不満が残る可能性はありますね。
デート映画としての側面はあるか
前作「君の名は。」はカップルが多かったということから、デート映画としての需要も一定数あったように思います。
男女が入れ替わりを繰り返す中でお互いを想うようになり、その気持ちに気付いたところで一方が手の届かないところに行っていた。それをどうにかしようと奮闘し、最後は無事にまた巡り合うことができたという内容は確かにドラマチックでしたよね。
他方、本作「天気の子」はどうだったかというと、こちらも同じようにデート向きといえそうです。
同じく男女が天気という身近にあるけど自由にできないものに関わっていくなかで、徐々にお互いの関係性を変えていく流れはドラマチックといえるでしょう。変にオタクオタクもしていなかったので、観終わってから気まずくなる心配もありませんしね。
ただし、主人公が若干「君の名は。」よりも幼く感じる可能性があるので、中高生カップルあたりに特にささるかもしれません。
おわりに
内容に関してはかなり抽象的になってしまいましたが、シンプルにいえば面白かったです。
確かに「君の名は。」と比較すると同じくらいヒットするかは微妙ですが、エンタメとしての役割は十分果たしていたと思います。最低でもあと1回は観に行こうと思えるくらいのクオリティだったといえば少しは伝わるでしょうか。
どちらにしても、本記事が観に行くかどうかの参考に少しでもなれば幸いです。好みなので何ともいえませんけど、なんだか内容が微妙だという話も聞くしどうしようかなと迷っているのであれば、観に行っても損はないと思いますよ!
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